『異世界おじさん』は異世界物の成れの果てなのか?すべては古から伝わるツンデレにかかっている
現実世界から異世界へ冒険する作品の歴史は結構古く、ナルニア国物語などの小説やネバーエンディングストーリーなどの映画、今の異世界転生物のはしりになったライトノベルのゼロの使い魔など昔から親しまれている人気のジャンルですが、最近は本当に数が増えすぎました。
異世界おじさんはコンテンツの成れの果てか?
この前観た漫画は本当にひどくて最初から最強で女もいて自分の都合で勇者のパーティーから抜けるとかいう、やまなしおちなしで全く捻りの無い展開でした。コメントも同じ感想の人が多かったです。
私はその作品が逆にどんどん主人公が落ちぶれていったらおもしろいのではないかなと思いました。例えば、拾い食いしてお腹を壊し病気になりめちゃくちゃ弱くなり、女もドン引きして逃げていき仕舞いには一文無しになるとかです。
まあ、単なる私の妄想で実際に話にしてみたら暗すぎて絶対につまらないと思います。でもこういうコンテンツの最後って逆にこうした方がおもしろいのではないのかという発想が生まれてくるのではないでしょうか?
異世界おじさんはそれに近い作品の一つだと思います。いや、それどこらか私は異世界おじさんは異世界物すべてを根本から否定していて、ある意味コンテンツの行き着く先である可能性があるとまで考えています。今回はそのことについて真剣に考えていきます。
異世界おじさんとゼロの使い魔の関係性
異世界おじさんの面白さはゼロの使い魔をベースにしたアンチテーゼ的作品だと思っています。簡単に言うとゼロの使い魔は王道で、異世界おじさんは邪道です。
そもそも、本当にゼロの使い魔をベースに作られているかというと、いくつか証拠があります。
1つはおじさんは当時17歳で異世界に行き、ゼロの使い魔の才人も17歳で行ったことです。
2つ目はアニメでいうと4話で子供の時のたかふみがライトノベルを読んでいて、それがド直球にゼロの使い魔だったことです。
3つ目はヒロインがツンデレであることです。これがたぶん一番重要で、ゼロの使い魔のルイズは当時流行りだしていたツンデレをライトノベルに取り入れてさらにアニメ化し、発信力が高くなり急速に広めたキャラクターであります。ツンデレはもはや誰でも知っている文化となりましたが、異世界おじさんは今ではそんなに珍しくはないツンデレを全面に押し出したエルフのキャラクターをヒロインにしました。この共通点は逆に2つの作品の一番の対比になっています。
ルイズは最初期の頃のツンデレで、性格の2面性だけでなく徐々にデレていくという特性があります。この特性がすさまじくここが天井かと思われた愛情がさらに上がり続けて結局最後までずっと上がります。才人もその愛情を受けて困難に立ち向かい、当初は元の世界に帰るだけだった目標が、ルイズと一緒にいて守ることに変わっていきみんなからも徐々に認められていきます。これぞ王道という感じです。
しかし、異世界おじさんはというと、知ってのとおりエルフのツンデレを嫌がらせとしか捉えられず逃げ続けてひたすらに元の世界に戻る手がかりを探し続けます。元の性格と異世界にきて迫害を受けた為に完全に人間不信になってしまっています。そして結果は元の世界に帰りyoutuberになってしまいました。
つまり、愛情が全く届かず、異世界でつらいめにあいすぎるから、現実世界の方がいいよねっていうロマンもクソもない話で、異世界物の否定というのはこういうことです。
とはいってもそんなマイナスの話ばかりでは私が冒頭に書いたような暗いだけの話になってしまうので、異世界おじさんは基本コメディーで自虐的な芸風になっている所が見事です。
全員からモンスター扱いされる主人公は革新的で元の世界に戻りたいという動機に説得力があります。